「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
ジークハルトは他国の貴族であることを考慮し、やんわりと断ってから自然とエレオノールに意識を向けさせる。

 子どもではなくきちんと相手となる女性がいるのだと示したつもりだったが、ラフィエット伯爵は止まらない。

「たしかにベルグ帝国では見かけない美しい女性ですが、まだ婚約したわけではないでしょう?」

「……勝手に決められる話でもないからな。いずれ時期を見て、という可能性は充分にある」

 エレオノールは浅い呼吸を繰り返し、昔よりずっと余裕を失った父やぼんやりと横に立ち尽くす母、そしてきょろきょろと周囲を見回す妹に意識を向けないようにした。

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