「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 震え声の疑問を聞いた瞬間、エレオノールは咄嗟にその場から飛び出していた。



 広間を抜けたエレオノールは中庭へ逃げた。

 五つの建物を外廊下で繋いだ中央に位置する庭には噴水があり、周囲を背の高い木が囲んでいる。

 昼間であれば花を楽しめただろうが、あいにく今は夜だ。

(嘘。わかるはずない。違う……)

 動揺と混乱でうまく頭が回らないまま、噴水を囲う大理石の上に崩れ落ちる。

 ひんやりとした冷たさは真っ白になったエレオノールの頭を少しだけ落ち着かせたが、激しい鼓動と浅い呼吸はしばらく治まりそうにない。

(どうして……)

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