「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「まだ泣いていないな? それならよかった。また泣いていたらどうしようかと思った」

「……申し訳ありません。パートナーを置いて飛び出すなんて……」

 必死に喉奥から振り絞った言葉を聞くなり、ジークハルトが大きく首を横に振る。

「そうじゃない。……いいんだ、謝らなくて」

 大きな手のひらがエレオノールの頬を優しく包み込んだ。

 必然的に顔を上に向けたエレオノールの唇が震えながら開く。

「本当にごめんなさい。私……」

「泣くな」

 エレオノールが目に涙を溜めているのを見て、ジークハルトが言う。

「お前の泣き顔は見たくない」

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