「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「そんなことを言っている場合か? 汚してもいいから逃げるな」

 あきれたジークハルトは、エレオノールを捉えて腕の中に閉じ込めた。

「そういうわけには……いきません……」

「だったら命令だ。泣き止むまで俺のそばにいろ」

 エレオノールはぎゅっと唇を噛んで深呼吸すると、こつんとジークハルトの胸に額を押しつけた。

「……なにも聞かないんですか?」

「聞いてほしいなら聞く。聞きたくないのかと言われたら聞きたい」

 顔を上げたエレオノールをジークハルトがまっすぐに見つめる。

「お前は俺にどうしてほしい?」

 ひゅ、と細い息がエレオノールの喉から漏れた。

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