「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 そこまで言ったところで、ジークハルトが目を見開く。

 エレオノールがこうなった原因であろう伯爵たちと、同じ姓だと気づいたのだ。

「先ほどお会いしたラフィエット伯爵家に生まれ、この瞳の色から家族とは認められず捨てられた娘です。ラスというのは、育て親のテレーがつけてくれた呼び名でした」

「……どうしてずっと教えてくれなかったんだ?」

 微かに非難する響きはあったものの、そこにあるのは本名を隠されて寂しかったという思いだけだ。

しかしそれは、責められるよりもエレオノールの胸を締めつける。

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