「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「初めてお会いした時、身分の高い方だと思ったんです。だったらラフィエット家とも縁があるかもしれないと思って……。本当にごめんなさい」

 罪悪感に満ちた謝罪に対して、しばらく返事はなかった。

 エレオノールがなにも言えずにいると、長い沈黙の後にジークハルトが問う。

「だったら俺は、これからお前をなんと呼べばいい」

「エル、と。もう貴族ではない私に、エレオノールの名は立派すぎますから」

 そう言った瞬間、ジークハルトが大きく目を見開いた。

「エル……?」

 うなずきながら、エレオノールは胸の内の罪悪感が大きくなるのを感じた。

(やっと呼んでもらえた……)

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