「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 ジークハルトは、エレオノールが『わかった』と言わなかったことに気づかなかった。

 それほどの状況だからこそ、城を去るには今が絶好の機会だった。

「リュース」

「みゃう」

 名前を呼ばれたリュースがエレオノールの足もとにやってくる。

「お別れを言わせてあげられなくてごめんね」

「あみゃあ」

 エレオノールは子竜を持ち上げ、本当にそうしたかった相手を思い浮かべながらぎゅっと抱き締めた。



 漏れ聞こえる会話から、少なくとも竜騎士団が戻ってくるまでは三日かかると判断したエレオノールは、すぐに行動に出た。

 厨房へ向かい、以前よりは気安く話せるようになった料理長に話しかける。

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