「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 そう言ってジークハルトは片手でエレオノールを引き寄せると、その両頬にキスを贈った。

「先日の国境での問題がなければ、もう少しふたりで過ごす時間を増やせるんだが」

「国を守る大切なお仕事ですから仕方がありません」

「そう聞き分けがいいと、俺ばかりわがままを言っている気になる」

 ジークハルトはリュースを抱いたまま、エレオノールを連れてソファに腰を下ろした。

 緩んでいた顔が厳しく引き締まるのを見て、隣に座ったエレオノールも背筋を伸ばす。

「私の顔を見に来るだけが理由ではないでしょう? なにがあったんですか?」

「……近日中にイーヒェルへ行く用事ができた」

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