「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 すかさず言ったジークハルトの顔に悔いはない。

「エレオノールにハインリヒを治療させろと言うのでしょう。それだけは聞けません」

「……そんな話があったんですか?」

 思わず聞いたエレオノールに向かって、ジークハルトは眉間に皺を寄せながらうなずいた。

「以前から言われていたことだ。ハインリヒは――リュースのブレスを直接浴びたうえに、処置が遅かった」

「今はどのような状態でしょう。生きてはいらっしゃるのですよね……?」

 目で問われた皇帝は、驚くほどジークハルトに似た仕草でうなずきを返す。

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