「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「皮膚は爛れ、顔も崩れた。声帯も焼き切れたようで声を出すこともままならない。かろうじて息がある、といった状態だ」

「そんな……」

 エレオノールは再びジークハルトに視線を戻した。

「ジーク」

「だめだ」

「まだなにも言っていません」

「なにを言おうとしているかわかるから言っている。あいつがなにをしようとしたか、忘れたわけじゃないだろうな」

 ベッドから出られるようになったエレオノールは、あの日なにが起きたかをジークハルトに説明した。

 包み隠さず話してからというもの、ジークハルトはもともと苦手意識があった兄に対して強い嫌悪感を抱くようになったのだった。

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