「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「お前こそ、俺のなにがわかる。今さら詫びも償いもいるものか。お前にはなにも期待していない。これまでそうだったように」

「……ジーク」

 さすがに聞いていられなかった。

 エレオノールはジークハルトの手に触れ、そっと首を横に振る。

(人は変わるものだと思う。だけど、このふたりの間にあるものは、ふたりにしかわからない。話に聞いただけの部外者が気安く口を挟んでいいことじゃない)

 ハインリヒはもうなにも言わなかった。

 これまでの行いを悔いているというよりは、ただ打ちひしがれているように見えた。

 許せない相手ではあるが、哀れな相手だとも思う。

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