「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 しかしエレオノールはそれを口に出さず呑み込んだ。

「ジークハルト」

 気配を殺すようにして見守っていた皇帝がようやく口を開く。

「お前は、私を恨んで――」

「廃嫡の件はどうしますか」

 遮られた皇帝が目を細めてジークハルトを見つめた。

 恨んでいるかと聞くことさえ許されていないのだと知り、口をつぐんでから再び話しだす。

「この状況で聞くな。お前は第二皇子のままだ」

「父上。……継承権はジークハルトに譲ってください」

 黙っていたハインリヒが横から言う。

「なぜ、俺に」

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