「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 シュルーシュカの背に揺られたエレオノールは、背後のジークハルトを振り返って言った。

「……怒っていますか?」

「どうした、急に」

「自分のことばかりで、安直な真似をしたかもしれないと思ったんです。……ハインリヒ殿下のこと」

「……ああ」

 ジークハルトは不安そうなエレオノールに顔を寄せ、細い腰を抱いていた手に力を込めた。

「気にするな。他人を傷つける気持ちより、助ける気持ちを優先するほうが大切だろう」

「ですが、代わりにあなたを傷つけたかもしれません」

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