「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「はい、伯爵様。仰せの通りに」
地面にへたり込んだエレオノールの目の前で門が閉まり、父であるはずの人の足音が遠ざかっていく。
もはや声を出すことも忘れ、涙で頬を濡らすばかりのエレオノールの腕を、伯爵に命令された門衛がそっと掴んだ。
「……君の境遇には心の底から同情するよ。でも、悪いね。俺にも家族がいるんだ。仕事を失うわけにはいかない」
父よりもよほど優しくエレオノールを抱き上げた門衛は、その場に控えるもうひとりの同僚に二、三言告げてから厩舎へ向かった。
そしてそこにいる厩番に事情を話し、年老いた一匹の馬を借りてエレオノールを抱きかかえたまま飛び乗る。