「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 ジークハルトに見られないよう手もとのリュースに視線を落としてから、意を決したように振り返る。

「だから私に、『素敵なこと』をたくさん教えてくださいね」

 キスを贈ったエレオノールの目の前で、ジークハルトが苦笑する。

「……今は手綱を離せないからやめてくれ」

 今すぐに抱きしめてキスを返したいと思っているのを隠しきれていない。

 それを聞いていたシュルーシュカが、またおかしそうに笑った。

『あら、離しても落とさないわよ。お好きなようにどうぞ』

「前は落とすと言ったくせに」

『あなただって不眠不休で働かされた後に自分の上でいちゃつかれたら、同じように言いたくなるわ』

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