「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「そんな話もあったが、当然断った。お前がエルだとわかった時点でほかの女を妻にする気はなかったし、なにより十一歳の子どもをそういう目で見るのはな」

 それに、とジークハルトが続ける。

「お前を傷つけた家の人間にいい思いはさせたくない」

「そう言ってくれる人がいるだけで充分ですよ。嫌な思いをすることもありましたし、今も忘れられていないことのほうが多いです。でも、私にとっては昔の話なんです」

「それはなによりだ。結婚式には招待していないからな」

 しれっと言ったジークハルトだったが、ラフィエット家についてはエレオノールに伝えていないことがある。

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