「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 身辺のごたごた騒ぎの最中に調べさせていたかの家は、ジークハルトだけでなく有力な貴族に片っ端から娘を娶ってほしいと言い続けた。

 そこまでしなければ家を保っていられないほど、金銭的に余裕がなかったのである。

 その結果、リヨン王国の貴族社会から爪弾きにされ、平民たちからも誇りとしていた青い瞳をあざ笑われるようになったのだった。

 ただ没落するよりも屈辱的な今を送っている事実をエレオノールに伝えるか迷っていたジークハルトだったが、既に過去を振り切っているのを見て呑み込んだ。

「あ、でも暗くて狭い場所に行くとやっぱり怖いです」

「……倉庫のような?」

「はい」

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