「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 まだ若い厩番の青年は、泣きじゃくるエレオノールに申し訳なさそうな視線を向けてからすぐ、目を逸らした。

「ごめんよ。ちゃんと掴まっていてくれ」

 伯爵家の娘を捨てにいく――。

 それは門衛の仕事ではないが、彼は命じられたからという以上に責任感を持ってこの役目をまっとうするつもりでいた。

 その胸の奥には、腕の中ですすり泣く少女に最後まで寄り添ってやりたいというやるせない気持ちがあったが、しゃくり上げるエレオノールにはわからなかった。



 馬を走らせてどれほど時間が経っただろうか。

 やがて門衛の男は馬から降りると、エレオノールに向かって目の前の暗い森を示した。

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