「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 エレオノールは指先にジークハルトの服の裾を引っかけ、奪われた子竜を取り戻そうと手を伸ばした。

「これはお前の手に負える生き物ではない。おとなしく渡せ」

「嫌です。その子がいなくなったら、私……」

 またひとりになってしまう、とエレオノールの瞳から涙がこぼれ落ちる。

 目の前で泣かれたことに動揺したのか、ジークハルトが戸惑いを見せた。

 そこに、事の発端となった子竜が元気よく手足をばたつかせる。

「みゃあ!」

 言葉が通じなくともご満悦なのが伝わるその鳴き声に反応したのは、人間たちではなく同じドラゴンのシュルーシュカだった。

「みゃあ」

< 70 / 530 >

この作品をシェア

pagetop