「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 否、本当に笑っているのかどうか、エレオノールにはわからない。

(なにを話しているかは知らないけど、さっきみたいに隙を見て――)

「おい」

 子竜を取り戻すべく神経を張り詰めていたエレオノールは、突然振り返ったジークハルトにうろたえた。

「お前も一緒に連れて行く。雛には母親が必要だそうだ」

「母親……。私が? この子の?」

「ほかに誰がいる。……必要な荷物があるのなら取ってこい。長くは待たない」

 そう言われてもエレオノールはすぐに動けなかった。

「私が離れている間に、その子を連れて行くつもりでしょう」

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