「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 そうはいっても、開放的な大自然で生きてきたエレオノールは、街内の人の多さと高い壁による圧迫感のせいで、そわそわと落ち着かない気持ちになった。

「ルストレイクに来たことは?」

「……ありません」

 驚いたことに、街を行きかう人々はエレオノールが抱いた子竜を見ても気にしていない様子だった。

 物珍しそうな視線を投げかけてくるが、それだけだ。

(竜騎士団が拠点を置いているから、今さらドラゴンの子どもくらいじゃ驚かないのかしら……)

「よそ見するな」

「きゃっ」

 きょろきょろしていたエレオノールが人にぶつかりそうになったのを見て、ジークハルトは素早く細い腰を抱き寄せた。

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