「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 必然的にふたりの距離が近くなり、エレオノールはむっとした顔を赤らめてジークハルトを見上げる。

「乱暴にしないでください」

「文句を言うなら抱いて運ぶ」

「だっ……!?」

 絶句したエレオノールの腕の中で、子竜が『みゃあ』と鳴いた。

 それがなければエレオノールはこの場で立ち止まったまま、動けなくなっていただろう。

(人を子どもかなにかだと思っているの……!?)

 ますます顔をしかめたエレオノールは、早く自分の足が元の通りに動くことを願った。

 ずっと腰に添えられている手の感触を意識し続けたくはなかったからだ。

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