『溺愛恋愛マイスターのポゼッシプ?!〜仔猫なハニーの恋愛偏差値〜』
過去の出来事に、そんなに執着はなかった筈。
ただ、少し…ほんの少し、心に何かが引っ掛かる。
けれど、そんなものは些細な事だと、今まで思っていて見逃して来た。


それが、こんな風になるなんて。



彼女は、本当に人当たりが良い。
だから、周りにいる男女問わずに、人気があるのは上司としては大変喜ばしいことなんだが。


「久倉さん!これ、お願いしてもいい?」

「中村さん〜。これ、この前も頼まれましたけどー?」


ほら、見たことか。
何時でも笑顔を惜しみなく振り撒いて、相変わらずの課内愛されマスコットキャラな久倉。

そんな、危機感ゼロな所がある彼女は、間違いなく俺の彼女だ。

そう、もう…少しだけ長かった両片思い期間を経て、交際するようになり、まぁまぁの時間が経った。

それは、周知の事実。
俺は隠そうとも思わなかったし、最初は恥ずかしがって抵抗を見せていた彼女も、今では落ち着いて懐いてくるようになった。


…勿論、互いの仕事の邪魔になるような、職権乱用は一切せずに。
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