『溺愛恋愛マイスターのポゼッシプ？！〜仔猫なハニーの恋愛偏差値〜』

交際を始める前から最悪の過去なんて、全部解放して、忘れさせるくらい愛すると誓った。

なのに今更また、あの頃傷付いた彼女の心を抉るような事をしにやって来たのかと、そう直感的に悟る。


「水美、今夜は俺のとこにおいで。直ぐに車出す…っていうか、一緒に行こう」

「…あの、瑛飛さん？迷惑じゃない？」

「迷惑なわけないだろ。大丈夫。お前の事は俺が守るよ」

「でも、仕事が…」

「仕事なんて何時でも出来るから。それより、水美を守るっていう約束を俺に守らせて？な？」

「ん…分かった」


俺は、なんとか彼女を説き伏せて、そのまま彼女の小さな手を引いて自分の車まで連れて行った。


小刻みに震えているその小さな手に、彼女がどれ程恐怖を抱いているのか、痛い程伝わって来る。


「……」

「…え、瑛飛さん？」

「ん？」

「あの、えっと…」

「如何した？怖い？」

「ううん。瑛飛さんが居てくれるから、怖くない…それより、幸せだなって…不謹慎だけど、そんな事思っちゃってる」


そう言って、俺の腕に巻き付くように細い手を回して、ふふふと笑う彼女に目を細めてよしよしと柔らかな髪を撫でていた時、不意に目の前に黒い影が入り込んだ。