残りの1ヶ月
残りの時間
合唱コンが終わり本格的に3年生の卒業式練習が始まった時期…
私の、私達の恋の歯車が大きく動き始めた。
──────────
「うわー流石にダルくない?ね!麻衣!!」
前の席に座る二重幅がくっきりとした、私の親友
中村朱里が1つ結びを揺らして此方を向く。
“ダルい”というのは今、1年最後の席替えをしているからだろう。朱里は今の席をとても気に入っていた為、そう思うのも無理はない。私は「きっと大丈夫だよ」と言って適当に流し、席決めのクジを引きに行く。
気がつくともうほとんどの席は決まっており、残りの空いている席は1番後ろの左端の席と“アリーナ席”と呼ばれている1番前の丁度真ん中の席だ。それぞれ12番と3番で番号が振り分けられている。
「うわ、麻衣の席、大当たりか大はずれの2択じゃん!」
「ね、まあどっちでも朱里とは離れちゃうし……」
なんて会話をしていると先生が急かしてくる。
「ほら、話してないで早く引いて下さい」
私は「はーい」とあえて伸ばし棒をつけて返事をしてから2枚しか残っていないBOXに手を突込み座席番号の書かれた紙を取る。番号は……
「あ、!12番!!」
私の、私達の恋の歯車が大きく動き始めた。
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「うわー流石にダルくない?ね!麻衣!!」
前の席に座る二重幅がくっきりとした、私の親友
中村朱里が1つ結びを揺らして此方を向く。
“ダルい”というのは今、1年最後の席替えをしているからだろう。朱里は今の席をとても気に入っていた為、そう思うのも無理はない。私は「きっと大丈夫だよ」と言って適当に流し、席決めのクジを引きに行く。
気がつくともうほとんどの席は決まっており、残りの空いている席は1番後ろの左端の席と“アリーナ席”と呼ばれている1番前の丁度真ん中の席だ。それぞれ12番と3番で番号が振り分けられている。
「うわ、麻衣の席、大当たりか大はずれの2択じゃん!」
「ね、まあどっちでも朱里とは離れちゃうし……」
なんて会話をしていると先生が急かしてくる。
「ほら、話してないで早く引いて下さい」
私は「はーい」とあえて伸ばし棒をつけて返事をしてから2枚しか残っていないBOXに手を突込み座席番号の書かれた紙を取る。番号は……
「あ、!12番!!」