【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
prologue
甘い香りがふわりと漂う店内。
今店内にいるのは、店員である私と、常連客のおばさま二人。
「ねぇ、これって、新商品でしょう?」
「はい。そうですよ。今回は……」
昨日出たばかりの新商品の説明をすれば、おばさま二人は納得してくださったらしく、それぞれ二つずつ購入してくださった。
「ありがとうございました」
まだ忙しい時間じゃないので、店先までお見送り。
彼女たちはいつものように私に手を振ってくれる。
「みつばちゃんも、本当にいつもありがとうねぇ」
「いえいえ」
手を横に振って、私はそう返事をする。その後、二人の背中が見えなくなって、空を見上げてみた。
……どんよりとした雲が、立ち込めている。一雨来るかも……と思って、店内に入ろうとしたとき。
不意に、店の駐車場に車が止まったのがわかった。
そっとそちらを窺えば、そこには見慣れない乗用車が止まっている。ナンバープレートには『京都』の文字。
遠方からのお客さんではないようだった。
(けど、なんていうかここら辺には似合わない高級車ね……)
黒塗りの乗用車は、見るからに高級なもの。若干頬を引きつらせていれば、運転席から一人の男性が降りてくる。
今店内にいるのは、店員である私と、常連客のおばさま二人。
「ねぇ、これって、新商品でしょう?」
「はい。そうですよ。今回は……」
昨日出たばかりの新商品の説明をすれば、おばさま二人は納得してくださったらしく、それぞれ二つずつ購入してくださった。
「ありがとうございました」
まだ忙しい時間じゃないので、店先までお見送り。
彼女たちはいつものように私に手を振ってくれる。
「みつばちゃんも、本当にいつもありがとうねぇ」
「いえいえ」
手を横に振って、私はそう返事をする。その後、二人の背中が見えなくなって、空を見上げてみた。
……どんよりとした雲が、立ち込めている。一雨来るかも……と思って、店内に入ろうとしたとき。
不意に、店の駐車場に車が止まったのがわかった。
そっとそちらを窺えば、そこには見慣れない乗用車が止まっている。ナンバープレートには『京都』の文字。
遠方からのお客さんではないようだった。
(けど、なんていうかここら辺には似合わない高級車ね……)
黒塗りの乗用車は、見るからに高級なもの。若干頬を引きつらせていれば、運転席から一人の男性が降りてくる。
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