【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
「それは、私、ですけれど……」

 けど、逃げられなくて。私は動揺を悟られないように、返事をする。そうすれば、女性がサングラスを取った。

 少し気の強そうな目が、私を射貫く。

「……ぁ」

 その顔を、知っていた。

「初めまして、私、細美と言います」

 にっこりと笑った彼女が、名乗ってくる。……細美。瑛二くんが言っていた、女優だ。

「それにしても、ここら辺はド田舎ねぇ」

 彼女がころころと笑って、そう言った。その後、すたすたと歩いて店内の端っこにあるイートインスペースに向かう。

 ……ついて来いとばかりに、私に視線で合図を送って来た。

「……なにか、飲まれますか?」

 一応とばかりにそう問いかければ、彼女は「コーヒー」と端的に言ってくる。

 私は、抗議をせずに奥に引っ込む。

 休憩室に戻って、スマホを手に取る。零一くんに一応メッセージを送って、コーヒーを淹れてイートインスペースに戻った。

「遅い」
「……すみません」

 彼女がとても大きな態度で、椅子に腰かけている。

 私は、ぺこりと頭を下げて彼女の目の前にコーヒーを置いた。ミルクとシロップも、一応つけている。
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