【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
 そう思いつつ私が小首をかしげていれば、瑛二くんは意を決したように私を見つめる。

「なぁ、みつば。……お前、今、彼氏とかいる?」
「ぶっ」

 けれど、いきなりそんなことを尋ねられて、むせないわけがない。

 そんな私を見て、瑛二くんは「なにしてんだ」と言いながら、立ち上がって私のほうに回り込んでくる。

 優しく背中を撫でてもらって、少しずつ落ち着いてくる。

「な、なんで、そんなこと聞くの……!?」
「いや、気になったから」

 気になったからと言って、そういうデリケートな問題を聞かないでほしい。というか、そもそもねぇ……。

「私、ここ何年も彼氏なんていない。高校一年生のときにできた彼が最初で最後」
「あぁ、あいつな。浮気したクソ野郎。兄貴から聞いた」
「その言い方ないわよ」

 そう。私は生まれて初めてできた彼氏に、浮気されて捨てられた。以来、それがトラウマみたいになっていて、恋愛が出来ないというか……。

「けど、間違いではないだろ」

 うん。ある意味当たってるけど。

「婚活してるけど、上手くいかないしねぇ……」

 ぼそっと、そう零す。

 実際、出逢いの場とかには赴いているし、合コンとかにも積極的に参加している。なのに、上手くぴったりな相手が見つからないというか。……結局、何処までも恋愛に向いていないのだと思う。

 あと、ほらさ……。

「そうか。……ふぅん」

 瑛二くんが、小さくそう零す。人に彼氏がいなくて、瑛二くんになんの関係があるのか。絶対に関係ないだろうに。

「人の恋愛事情に勝手に首を突っ込まないでよ。……瑛二くんには関係ない」
「関係あるだろ」

 私の言葉を、一蹴する瑛二くん。驚いて、彼の顔を見つめる。

 彼の目は、真剣な色を宿している。

「なぁ、みつば。……こういう冗談、俺、嫌いだから。……本気なんだけど」
「うん」
「俺と結婚しろ」
「ぶっ」

 また、むせた。

「な、な、なに言ってるの……!?」

 この人は一体なにを言っているのか。わからない。意味がわからない。

 驚きに染まった目で、瑛二くんを見つめる。彼は、真剣なまなざしをしていた。

 なので、気が付く。……彼は、本気なのだと。
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