【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
 かといって、訳もなく受け入れられるはずがない。

「疑ってるのか?」

 そう問いかけられて、ぶんぶんと首を横に振る。真剣なのは、伝わってきている。

「そういうわけじゃないよ。……ただ、ほら。いきなり理由もなしに返事なんて出来ないでしょ……」

 それっぽい理由をでっちあげて、私は苦笑を浮かべる。瑛二くんは「それもそうか」と言って先ほどまで座っていた場所に腰を下ろした。

「まぁ、うん。詳しくは理由を話せないんだけど、早急に結婚相手みたいなのを作ったほうがいいかと思って」
「なに、義務?」

 眉を顰めてそう問いかければ、瑛二くんは気まずそうに視線を逸らした。

 ……図星、だろうか。

「ほら、ちょっと、いろいろあるっていうか……」

「そこを教えてくれないと、納得できない」

 そもそも、瑛二くんと結婚したら、私も東京に行かなくちゃならない。

 絶対に京都に住みたいというわけではないけれど、やっぱり地元には愛着がある。それに、知り合いが一人もいない場所なんて不安しかない。

「そうだよな、みつばって、そういう奴だったわ」

 私の顔を見て、瑛二くんが笑う。その笑みは、昔からなにも変わっていない。

 テレビとか、スマホとかで見る瑛二くんの笑みは、何処か作り物っぽくて。私の中では小さな違和感となっていた。

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