【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
「……まぁ、うん。端的に言えば、面倒な女に迫られてる」

 それは端折りすぎだと思う。

「しかも、変に力を持ってるんだよ」
「うん、理解した。変に権力を持つ女性から逃げたい。だから、私を妻にするっていうことね」

 ミルクコーヒーを口に運んで、瑛二くんの言っていたことを復唱する。彼は、少しためらった後に頷いた。

(というか、瑛二くんって派手だから。……割と女性関係が派手って、思われるんだよねぇ)

 そういや、昔からそうだったな……と思いつつ、私は彼を見つめる。

 少し長い前髪が、目元にかかっている。それを払うこともなく、瑛二くんは俯いていた。

(実際は、真面目なのにね。……人って、見た目で判断するから)

 その証拠に、私なんて二十歳を超えても未だに高校生だと思われる。童顔も、考えものだ……って、そうじゃない。

「でも、ほら。相手の人、私みたいなのが妻で納得する?」

 私は……いわば、地味な部類だと思う。化粧は派手じゃないし、髪の毛だって軽くまとめているだけ。背丈は低くて、胸は……ぺったんこ。芸能界に身を置く瑛二くんの妻としては、不釣り合いもいいところだ。

「別に納得させたいわけじゃない。それに、まぁ、うん。問題ない」
「なにそれ。全然意味わかんない」

 本当に意味がわからない。そんな私の気持ちを理解してか、瑛二くんは頭を抱えてしまう。

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