【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
 けど、しばらくしてハッとしたように顔を上げた。

「そういや、兄貴から聞いたんだけど。……お前、ストーカー被害に遭ってるんだって?」
「……零一くんも、余計なこと言ったよね」

 それは、正しい。

 私はつい二ヶ月ほど前から、ストーカー被害に遭っている。

 相手はお店の常連客の人。上のお姉ちゃんが、突き止めてくれた。

「警察にも相談してるけど、実害がないから注意しか出来ないって」

 一応警察にも相談してるけど、やっぱり相手にもされない。お姉ちゃんはそれをすごく怒ってくれたけど、私としてはもめ事は起こしたくなくて。結局、現状は引き下がることしか出来なかった。

「それに、あんまりお店に悪影響を与えたくないし」

 こっちは自営業。信用商売だ。万が一お店になにかあったら……と思うと、トラブルを起こす前に引き下がるしかなかった。

「……けど、それでみつばが危険な目に遭ったら、元も子もないだろ」
「そうだとしても、だから」

 危険な目っていうほど、危険な目には遭っていない……と思う。

「危険っていうより、普通に気持ち悪いだけだし……」
「それでも、お前が気持ち悪いんだったら十分被害だよ」

 それはまぁ、うん。間違いないんだろうけれど。

「って、いつの間にか私の話にすり替わってるし……。それに、それとこれと関係ないでしょ?」
「関係ある。……妻になる女の周辺は、調べておくに越したことはない」

 ……だけど。さすがに、それは――。
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