四番
「ありがとう里依紗。お婆さんありがとうございます」

私は里依紗と、お婆さんにお礼を言った。

「噛まれてないかい?」

お婆さんが心配そうに顔を近づけて聞いてきた。

「だ、大丈夫です」

「狂犬病だとやっかいだからね」

意外だった。失礼な言い方だけど普通の人だ。


「怪我してるじゃないか」

「あっ」

お婆さんが私の右手を取りながら言った。見ると肘の辺りが擦り剥けて出血している。

結構、範囲が広い。


全然気がつかなかった。


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