四番
「手当するからおいで」

「えっ」

「私の家はそこの道を入ったらすぐ目の前だから手当してあげるよ。ほら」

お婆さんが目の前の道をあごでしゃくった。

私と里依紗は顔を見合わせる。


「親切に言ってくれてるんだ。手当してもらおう」

里依紗に言われて私は頷くと、お婆さんにお願いした。

「ありがとうございます。お願いします」立ち上がると肘から腕を伝って血がぽたぽたとアスファルトに落ちた。


お婆さんの後に続いて歩いて行くと一軒の古い家の前に着いた。表札には「田島」と書かれている。

私はハンカチで傷口を押さえながら里依紗と二人で、お婆さんの家にお邪魔した。

家の中は薄暗いけど予想していたのよりも遥かに整頓されていた。

台所に連れていかれて傷口を洗い流された。

「痛っ」

傷口がしみて痛みに顔をしかめた。

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