四番
お婆さんが私と里依紗にお茶を持ってきてくれた。


「ありがとうございます」

二人でお礼を言う。


お婆さんは私達がお茶を一口飲むのを見て表情を和らげると、仏壇に立てた蝋燭にマッチで火を点けて拝んだ。

そして私達に向き直ると背筋を伸ばして座った。


「昔はいろんな人に話したもんだけど誰も信じちゃくれなかった」

お婆さんが話しだした。

「それって学校に関係のあること?」

里依紗が聞く。

「あそこには病院があったんだよ。もう何十年も前だけどね」

お婆さんは頷きながら言った。

「私はあそこで看護師をしていたんだよ」

「あそこっていうか、その病院はなんだったの?」

「精神病院だよ。しかも身寄りのない患者専門の」


< 105 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop