四番
「未来!」 修哉と目が合うと呼ばれた。

「あれ?腕どうした?」

「これ?昨日転んじゃったの」

「大丈夫かよ?」 腕に巻かれた包帯を見て心配そうに修哉が言う。

「うん!擦りむいただけだから」

包帯を見るとお婆さんを思い出す。

「未来!ちょっと!」 里依紗に呼ばれた。

修哉に一言断ると、里依紗のところへ行くと小声で言ってきた。

「昨日の婆さんと会ったことや家に入ったことは誰にも言うなよ」

「なんで?」

里依紗のさっきからの雰囲気で、なんとなく昨日のことを詳しく話してはいけないと察してはいた。

「めんどくさいことになりそうだろ?人が一人死んでるんだし」

「うん」

「誰かに聞かれたら言えばいいんだよ。少なくとも自分からは言わない方がいい」

「わかった」


里依紗の言うことは理解できた。 私だって面倒に巻き込まれたくない。



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