四番
「私……今までは何も言わなかったけど……いなくなるのは嫌だよ」真理が弱々しそうな声で言う。

「真理……」その様子を見て里依紗は弱った顔をした。


里依紗は真理の手を取ると、「大丈夫だよ。隣町に引っ越すだけだから!いつでも会えるって!」

「でも……」

「連絡だっていつでもできるし」

「でも……」

「待ってろよな」

「うん……」


里依紗は子供に言い聞かせるように真理を説き伏せた。

「落ち着いたら連絡をしてよ」「わかってるよ」恭平に答える里依紗。

「元気でな」「ああ。未来のこと頼むよ」里依紗はそう言うと、修哉と握手した。
そして私を見た。


「里依紗……」


「……じゃあ、な」


笑みを見せる里依紗に私は笑顔で頷いた。


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