四番
こんな聞こえてきたら気になって寝付けない。

窓を閉めるときに、何の気なしに外を見たときだった。


「あっ……」

思わず声が漏れた。家の前に誰かいる……。

向かいの家の塀のところ、電柱の陰にうちの学校の制服を着ている女の子が立っているのが見えた。

外がいつもより暗く感じるのは街灯が消えているからだとわかった。

おかげで立っている子の顔が見えない。


長めの髪…… しかも制服……

なんでこんな時間に、あんなところにいるんだろう?

向かいの家には同年代で同じ学校に通っている子供はいなかった。

「なんで……?ああっ……」

私はこの前のことを思い出した。


血のように真っ赤な夕焼けの日、里依紗と恭平と別れて帰ってきたときに不気味な人が立っていたのを。

あのとき私は普通の女の人を、どういうわけか間違えて必要以上に恐怖を感じた。

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