四番
あのお婆さんの噂される過去が本当かどうかなんて私達は知る方法もなかった。


ただ、あの人は私達の間では有名な人で、毎朝家の前を掃除するかたわら、登校している私達に向かってぶつぶつ言ったり、時には怒鳴ったりするのだ。


中には面白がってからかう生徒もいたりする。


お婆さんが私達にどうして「学校に行くな!」「帰れ!」と言うのかは、さっぱりわからなかった。


私達が教室に行くと、なんだか普段よりざわざわしていた。


「修哉《しゅうや》!おはよう!」

私は教室の中に修哉を見つけると、笑顔で手を振った。

横にいる恭平《きょうへい》にも挨拶する。

恭平は控え目に片手を上げて返してきた。


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