四番
「名前なんつったっけ……」


「たしか……田島さんじゃなかった?」


「ああ。それだよ、それ」


里依紗に真理が名前を教えたのを聞いて私も思い出した。あの人は「田島」というんだった。

 

修哉から聞かされた話によると、クラスメイトの女子三人が田島さんに声をかけられた。

なんでも、恐ろしいことが起こりそうだから学校には行かない方がいい。と、言ってきたらしい。

田島さんという人は時折こういうことを鹿島高校の生徒に言うのだ。


なぜそんなことを言うのか、理由は誰も知らない。

ただ、登校時間に家の前にいて(なんの悪戯か、比較的生徒が通る道沿いにある)植木に水をやりながらなにかぶつぶつと一人で話している。



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