四番
「書斎はそのままだったから。いろんな本やノートを見たよ」


「ふうん...なんかいいね。そういうの」


私は身内に影響を与えてくれる存在がいる恭平が少し羨ましかった。


「私の周りなんて凡人しかいないから。私も含めてね」


私が言うと里依紗も、 「私なんか身内はムカつく奴しかいないよ」 と、笑いながら言った。




それからも話して解散したのは6時を過ぎた頃だった。 私と里依紗、恭平は家が近所なので同じ方向に帰る。


真理は一駅となりなので皆で改札まで送った。


手を振って改札に入った真理を見送ってから駅の空を見上げると血を流したような真っ赤な色に染まっていた。




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