四番
「でも食うためにはしょうがないじゃん?自分でもそういう状況になったらお母さんのため、生活のために仕方ないって思いそうで嫌なんだよ」


里依紗は一旦、口をつぐんでから付け加えた。


「あいつがきたら確実にそういう環境になりそうだっていうのは感じるんだよな」あいつというのはお母さんの再婚相手なんだろう。


「私と恭平でおばさんに話してみようか?」


幼馴染の私達はお互いの両親を知っている。特に、里依紗のお母さんは小さい頃、私達にとても優しかった。


「無理無理。もうあの頃のお母さんじゃないから。男で変わったんだよ。今は母親じゃなくて「女」だから」


里依紗は鼻で笑いながら言った。


「と、いうわけで私にとってはとっとと家を出るのが一番自分にとっていいわけ」


それを聞いて恭平も私も言葉がなかった。




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