四番
「いつ出て行くんだ?」恭平が下を向きながら聞く。


「今月中かな。彼氏には話してるから」


里依紗は家を、この街を出て彼氏と二人で暮らすと私達に打ち明けたのはつい最近だった。

今はこうしてあっけらかんとしているが、話してくれるまでそうとう悩んだのだと思う。そのうえで決断したのだと。


「私達になにかできることってある?」


里依紗は真っ赤な空を見ながら「ないよ。気にしないでいいから」と、笑った。


その明るさが私にとっては辛かった。


今までずっと一緒にいると思っていた親友が、もうすぐいなくなってしまう。


こうして一緒に学校から帰ることもなくなってしまう。


しばらく黙ったまま三人歩いていた。



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