四番
「どうしたのよ?血相変えて」


「いや……」


飛び込むようにドアを開けた私の顔を見て、お母さんが呆れたように言う。

ようやく動機も落ち着いてきたのを感じて大きく息を吐いた。


「お腹すいちゃってさ」


「だったらもっと早く帰りなさいよ。晩ご飯冷めちゃうわよ」


「ごめん。ちょっとみんなと話しが盛り上がっちゃって」


見るとテーブルの上にはサランラップをかけた晩ご飯が置いてある。


「すぐ温めるから、早く着替えていらっしゃい」


「は~い」


返事をすると、私は自分の部屋がある二階へ上がっていった。


制服から部屋着に着替えるとさっきのことに想いを馳せた。


あれははなんだったのか。

今まで、どんな暗がりでも人があんなふうに見えることはなかった。

しかも、うちの制服と間違えるなんて……全然違う格好だったのに。


「えっ!?」


風が頬を撫でた。


見ると窓が開いている。


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