四番
「あれ」


パーカーが指差すと古い金網のフェンスと汚れた「立ち入り禁止」の看板。

フェンスの扉は錆びた南京錠が壊れて風に揺られている。


静まり返った辺りを見回して「雰囲気あるじゃん」とニット帽が言いながらポケットからタバコを出した。


「よっしゃ。行こうぜ」


パーカーがフェンスの扉を蹴り飛ばして開けた。

雑草が生い茂る敷地の奥に建物の影が見える。

コンクリート建ての古い建物でドアの上部にはめ込んであるガラスが割れている。


「この前来た時、割っておいたんだよ」


パーカーは得意そうに言いながら手を入れると内側からドアの鍵を開けた。


錆びついてドアノブを回してドアを開ける。



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