四番
「そんな驚くことかな?気になるじゃない?」


「僕にはそういう相手はいないよ」


「そうなの?」


視線を外しながら答える恭平の顔を見つめながら聞いた。


「恭平、私のこと見てるじゃん」


「えっ」


また飲み物を手に取ろうとしていた恭平の動きが一瞬止まった。

そんな恭平の顔を見つめる。


「それは誤解だよ」


恭平は長めの髪を揺らしながら否定した。


「そっかあ。 私の勘違いか」


「そ、そうだよ」


人差し指でメガネを上げながら恭平が言った。


「ごめんなさい。気になっちゃって」


「なにを?」




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