四番
今思い起こせばそうした疑念が湧き上がってくる。

自分の知っている未来とは明らかに違ったと。


「いやいや。何を考えてるんだ。我ながら馬鹿馬鹿しすぎるだろう」


恭平は頭を振ると疑念を追いはらった。


気持ちを切り替えるように恭平は一番上の引き出しを開けると、古いノートを取り出した。


表紙には記入が始まった日付と「小織卓」という名前が書いてある。


小織(すぐる)

恭平の大叔父で目標にしている人物でもある。


卓とは面識などないのだが、恭平は家族では祖父母、父母に似ず一人だけ学究肌だった。

親族を見渡しても、自分に近しい感じの人はいない。


そんなときに祖父の弟が研究者だったと聞いて興味を持った。

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