四番
やがて祖父が亡くなり、恭平の父親が大叔父の形見を持つことになった。


恭平は卓という人物を古い写真でしか知らなかったので、この日記に興味を持った。


読んでみると日々の研究の経過などが極簡単なメモ代わりに書かれているときもある。


だが、読み進めていくとある日を境に日付がとんでいて、そこからは以前のような研究に関することはほとんど書かれていなかった。


たまになにかの数値と思われる数字と、遠隔操縦という言葉が目に付いた。


それが何を意味するのか恭平にはわからない。


日記は自殺する数ヶ月前で書き込みが終わっている。


ノートは三分の一程度残っていることから、恭平は卓の身上になにか変化があったのだと思っている。


ただ、それが卓の命を絶つことにつながったのかは想像でしかなかった。



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