四番
「私にはわかるの。恭平くんの気持ち。友達を思いやる心」


女の子の声は清水の流れるかのように恭平の胸に入り込んでくる。


彼女の言葉には不思議と心地良いものがあった。


「友達関係を壊したくないからこの前は未来に誘い水かけられても言わなかったんでしょう?自分の気持ちを」


その通りだった。


「ああ。そうだよ」


「優しいんだ」


「違う。そんなんじゃない」


恭平は女の子の言葉を否定した。


「僕はただ、自分が関わる人間関係を壊したくなかっただけなんだ。面倒は嫌いなんだよ。自分のどうにもならないことで」


恭平にとって未来への恋は自分でどうにかできるものではなかった。



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