四番
「ありがとう!また来るね!次は夢の中じゃなくて」


「えっ?」


「もうすぐ会えるの。もうすぐ。この前はうっかり失敗したけど今度は大丈夫」



女の子の姿がどんどん遠ざかり、周りの景色もノイズが走るように歪み消えていった。

そこで恭平の目が覚めた。


「なんだ今の夢……」

起き上がって時計を見る。


午前一時。


「自分を慰めたくて、夢の中であんな存在を作り出してしまうなんて。やばいな」


恋愛が上手くいかない自分の自慰的夢と思うと、我ながら情けないと思いつつ自嘲気味に笑った。



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