四番
「えっ!」


そのとき人の気配を感じた。


自分しかいない部屋なのに。


しかし部屋の隅の一際暗い闇から視線を感じた。


じっと目を凝らして闇を見る。


ここ最近、あの地震があった日から誰もいない場所で人の視線を感じたりする。


気のせいだと思っていた。


「わあっ!」


恭平は驚き声を上げた。

今、空気が動いた。

風もないのに自分の頬をふんわりと撫でるように。

窓は閉まっている。

同時に感じていた気配も消えた。



< 95 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop